理論化学研究室への配属に興味のある
化学科学生(主に3年生)の皆さんへ

皆さんは化学の中でも物理化学に興味をお持ちのことと思います。物理化学講座には4つの研究室があり、それぞれ特徴のある研究を進めているので、配属研究室をよく吟味して決めて下さると良いと思います。ここでは理論化学研究室の紹介として、
1.研究室の目標
2.どのような学生が理論化学研究室に向いているか
3.研究室の配属前にどのような準備をすればよいか
をお話ししたいと思います。

その前に「理論化学研究室とは?」を少しお話しします。

0.理論化学研究室とは?

1911年(明治44年)に東北帝国大学理科大学が開設され、化学科が設置されました。この時、無機化学、有機化学の研究室とともに理論化学研究室が設立されています。当時の「理論化学」は今の「物理化学」を指しており、設立当時から理論化学研究室は物理化学の実験を主体とした研究室として続いてきました。設立から110周年を迎えた現在の理論化学研究室は、実験と量子化学計算を組み合わせて物理化学の最先端の研究を進めています。

1.研究室の目標

研究内容については「こちら」をご覧下さい。理論化学研究室では、分子やその小集団(クラスター)の構造と反応機構を明らかにすることを目指しています。研究室の目標としては、「研究室に所属している学生・大学院生がそれぞれの目標を達成して卒業・修了を迎える」ことです。学部生の目標としては、例えば「研究を始めるのに必要な物理化学の基礎知識と真空分子線実験の初歩を学ぶ」ことがあげられます。一方、博士課程の段階では「物理化学分野・クラスター科学分野の中で重要な研究テーマを自分で設定し、実験設定・装置開発・実験遂行・結果の解析・論文作成投稿までを自力で行える」ようになるのが理想です。

2.どのような学生が理論化学研究室に向いているか

まず一番大事なことは、物理化学が好きということでしょう。化学の分野は、コンピュータ画面だけを相手にする領域から、フィールドワークが主となる分野までさまざまです。その中で選んだ分野とこれから先何年も(何十年も)付き合っていかねばなりません。その分野の中で1.であげたような目標を達成して研究を続けていくには、何よりもその分野を好きである必要があります。これがクリアできれば、この研究室に来れる素質はすでに十分です。
また、実験や量子化学計算は独りで進めていく場合が多くなります。そのような孤独に耐えて研究を続けていける精神的な強さ(鈍感さ?)も大事かもしれません。

3.研究室の配属前にどのような準備をすればよいか

この研究室に配属されると、研究に必要な衝突反応、真空、レーザー、量子化学計算などの基礎知識を先輩がかわるがわる講義してくれるシステムを設けています。ですから、あらかじめ習得しておかねばならないものというのは特にありません。ただ、なるべく多くの講義を受けて、きちんとしたノートを作っておくことをお勧めします。特に有機化学や無機化学はあまり研究室では指導しないので重要と思います。このようなノートを用意しておくと、必ず役に立つ日が来るでしょう。
後は、できるだけいろいろな遊びを覚えておくのも大事かもしれません。研究室での生活が始まると、どうしても研究以外のことをできる時間が足りなくなって、ストレスがたまることがあるかもしれません。そのためにも、今のうちに十分遊んでおくのが良いでしょう。ただし、単位はしっかりとっておいて下さい。


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